たるこすの日記

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リアルからバーチャルへ、バーチャルからリアルへ

Microsoft Build 2017 に参加しました

2017/5/10-12 で開催された Microsoft Build 2017 に参加しました。 Build とは Microsoft が年に一回行っている開発者向けイベントで、今年はシアトルで行われました。

keynote の内容は以下のブログで紹介されています。

また、keynote やセッションの動画は以下のサイトで公開されているので、是非ご覧ください。

ここからは、keynote やセッションを聞いた中で特に興味を持った内容について感想を書いていきます。

Intelligent Cloud & Intelligent Edge

1日目の keynote では、Intelligent Cloud & Intelligent Edge というメッセージが強く印象に残りました。 個人的なイメージとしては、以前まではクラウド側が大きく取り上げられることが多かったのに対し、 今回はクラウドもエッジと呼ばれる個々の端末も両方ともが賢くなることが重要であるというメッセージを感じました。

私はクラウドよりデバイスの方が好きなのでデバイス側も取り上げられているということを嬉しく感じましたが、 デバイス側だけでなくクラウドとの連携も積極的にやっていく必要があると感じました。

また、Azure IoT Edge と呼ばれる機能が新しく発表され、これまで Azure IoT で行っていた処理を Edge 側でも行えるようになるようです。 他にも、Azure Stack の例として、航海中は船に積まれたサーバの Azure Stack を利用し、港に停泊中は Azure と連携するというようなものが紹介されており、 Azure Stack はそういった使い方ができるんだなぁと感心しました。

これまで、クラウドというとどこかのデータセンターにあるサーバで処理されるというものでしたが、 将来のクラウドは Azure のデータセンターでも社内の Azure Stack でも手元の端末でもどこでも動くというものに変わってくるのかなと感じました(新しい名前がつくかもしれませんが)。 データセンターでも手元の端末でもどこであろうが同じコードが動き、ネットワーク状況や負荷などに応じて処理場所が切り替わったりすると面白いと思います。

Cognitive Services

Cognitive Services という名前で様々な機械学習API が公開されています。 今回の発表でカスタマイズできる画像認識APIが登場しました。 トレーニング用画像をアップロードするだけで、学習・認識を行うことができます。

画像をアップロードするだけなので、機械学習を知らない人でも簡単に使え、アプリケーションに組み込むことができます。

自分でコードを書いてチューニングするより精度は落ちるかもしれませんが、年々精度は上がっていくでしょう。 機械学習が簡単に使えるようになれば、機械学習が使われるアプリケーションや使われる場面というのがどんどん増えていくだろうと感じました。

Fluent Design

かっこいいデザインであるというだけでなく、幅広いプラットフォームに対応できるというところがとても魅力的でした。

IoT デバイスのようにディスプレイがないものから、スマートフォンタブレット、PC、そして 3D の Windows Mixed Reality デバイスに至るまで、 さまざまな表示形式・さまざな入力方法に対応できるデザインを目指しているようです。

.NET, Xamarin

keynote では、Xamarin という名前なしに Xamarin の紹介が始まり、C# のコードと XAMLマルチプラットフォームのアプリケーションを作るのは特別なことではなく標準になっていくんだなと感じました。 さらに .NET Standard 2.0 や XAML Standard 1.0 により、コードやXAMLの統一がより進むようです。

また、UWP になって無くなってしまった API がいくつもあり苦労することもあったのですが、 .NET Standard 2.0 for UWP によって復活するものも多数あるようなのでありがたいです。

Windows Mixed Reality

Acer, HP のヘッドセットのプレオーダーが発表されました。 さらに、ヘッドセット向けのコントローラが発表になりました。

ただ、HoloLens に関するアップデートはなく、事例紹介ばかりでした。

残念なことはさらにいくつかあります。 今回発表になったコントローラは HoloLens では動かないようです。 また、Acer, HP のヘッドセットは透過ではない VR 用デバイスであり、HoloLens にある ジェスチャや Spatial Mapping などの機能も利用できないようです。

残念に感じた理由として、VR 用ヘッドセットに HoloLens と同じ機能が付くことを期待しすぎたということがあります。 というのも、Windows Mixed Reality という名前から、すべて Mixed Reality 向けの端末であると期待していたのですが、どうもそうではないようです。 VR デバイス/AR デバイスで開発環境やAPIを統一したい、その統一された環境が Windows Mixed Reality というもののようです。

そのため、Windows Mixed Reality という枠で括られているとはいっても、HoloLen と VR ヘッドセットでは機能も利用目的も違うものとなりそうです。

一方で、VR デバイスとしてみれば素晴らしいものだと思います。 Acer のヘッドセットを体験できるブースがあったのですが、とても軽くて解像度も十分でした。 ただ、表示されている映像がほんの少しカクっとずれることがあるのがイマイチだと感じたのですが、別の方の話によるとそういう問題は起こらなかったそうなので、 発熱やトラッキングがうまくいかない条件等がなにかあるのかもしれません。

また、会場で HoloLens をかけている人を探したのですが、発表者を除けば日本人以外で1人しか見かけませんでした。 日本人では自分含めて少なくとも3人がかけていたので、日本人の圧勝ですね。 日本の HoloLens イベントでは多くの人が HoloLens をかけているのですが、海外では熱狂的な HoloLens ファンは少ないのかもしれません。

まとめ

昨年の Bash on Windows や Xamarin の発表に比べると、今年はびっくりするような発表が少ないと感じました。 しかし、堅実なアップデートで確実に便利になるだろうと感じるものが多く、満足のいく内容でした。