Tokyo HoloLens Meetup vol.3 参加報告
こんにちは、たるこすです。 2017/6/11(土)に開催された Tokyo HoloLens Meetup vol.3 に参加しました。
今回もたくさんのホロレンジャーが集まり、大盛況のイベントでした。
前半の発表について、簡単に振り返ってみます。
Mixed Reality Build Update
Microsoft エバンジェリストの高橋忍さんの講演は、Build や de:code という Microsoft のイベントで発表された HoloLens や Windows Mixed Reality に関する話題についてでした。私も Build や de:code に参加したので、その時のことを思い出しながら聞いていました。
Build では HoloLens に関する技術的アップデートはなかったですが、大きな体験ブースが4-5個あったり企業ブースでも HoloLens を使った展示がいくつもありました。de:code でも HoloLens を使ったセッションや出展ブースが多数あり、事例がかなり増えてきています。
また、技術的アップデートとしては、没入型の Windows Mixed Reality デバイスとコントローラが販売されるという点と、新しいデザインガイドラインの Fluent Design System が注目すべきポイントとのことでした。
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TIS株式会社 森さん、井出さんの講演は、対話エージェントや Microsoft の Cognitive Service に関する発表でした。
de:code での講演時は HoloLens や Mixed Reality についての説明から行う必要がありましたが、今回はその必要がないということで前半部分のスライドはほぼ割愛され、代わりに Microsoft の Cognitive service を使ったデモの紹介がありました。
Cognitive Service は Microsoft が提供する主に機械学習を使った API で、画像認識や音声認識、言語処理などの様々な機能が用意されています。
デモの中で特に面白かったのが HoloLens で撮った画像を使って HoloLens とおばちゃんサンバイザーを見分けるというものでした。Custom Vision Service を使うことで画像をアップロードしてラベル付けするだけで学習や認識をさせることが可能です。
後半の井出さんの発表では、エージェントと日本語で対話するための各種サービスの利用についてのお話がありました。HoloLens は現在日本語対応されていないため、日本語で対話するためには外部サービスを利用する必要があります。 具体的には、日本語の音声認識、発言内容の理解と返答メッセージの作成、日本語音声合成について、それぞれクラウドサービスを利用することで実現されていました。
また、エージェントのキャラを生き生きさせたり、発話中や認識中ということがユーザに伝わるようアイコンでフィードバックするなどの工夫がされているのがとても良かったです。
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株式会社ネクストスケープの岩本さんは屋外での HoloLens の利用に取り組まれていました。
HoloLens は屋外での使用には向かないとされています。それは、屋外だと外の光が強いために映像がうまく見えない、ビルや道路などの周囲のものまでの距離が遠いため空間マッピングを生成することができないといった問題点があるためです。
それら問題点に対する対処として、映像がうまく見えないという問題は HoloLens にサンバイザーのような遮光フィルターを取り付け外部の光を弱めることで解決されていました。また、空間マッピングが作成できないという問題は、アプリ起動場所を決めたうえであらかじめ作成しておいたビルや道路のモデルを利用して空間に表示させることで対処していました。
これらの仕組みを使って、建設予定の建物を HoloLens で見ることができるアプリケーションを作成されていました。
ナビタイムジャパン初のHoloLens向けデモアプリの開発から公開に至るまで
株式会社ナビタイムジャパンの打櫻さん、赤峰さんはアイデア出しから開発までの取り組みについて講演されていました。Unity や HoloLens を使うのが初めてにも関わらず、2人月でアプリの開発をされたそうです。それだけでもすごいことですが、アイデア出しから企画への落とし込みまでのプロセスが非常にしっかりとされていて、とても勉強になりました。
はじめに当時のストアの全アプリを調査し、カテゴリ・ジャンル・概要・HoloLens らしさという点をチェックしたそうです。
アイデア検討の段階では、以下の3点を意識したそうです。
- 全員で
- 1時間で必ず成果物をだす
- とにかくほめる
また、企画への落とし込みの段階では、アプリのブラッシュアップとしてアプリタイプ(AR 寄りのアプリなのか、VR 寄りのアプリなのかというタイプ)や HoloLens のスイートスポット (ホログラムを置くのに適した 1.25~5m のエリア) を考慮して検討したそうです。最後に実現性の考慮を行ったとのことです。
自分が HoloLens アプリのアイデアを考える際には、ついつい実装のしやすさやを考慮してしまっていました。これからは、実装にとらわれて頭が固くなってしまわずに、HoloLens だからできること・できるかもしれないことをしっかりと考えるという点を意識しようと思います。
開発は3日ごとに実機レビューを行うアジャイル開発で行ったそうです。ネクストスケープ岩本さんも同じような話をされており、開発スピードの速さを強く感じました。
感想
前回までの Tokyo HoloLens Meetup では HoloLens の仕組みやアプリの実装の話が中心でしたが、 今回はどういう意図で何を考えて HoloLens アプリを作ったかという話が中心となっていました。
build や de:code でも多数の事例が紹介されていましたが、HoloLens のビジネス利用が急速に広まっているということを改めて実感しました。
次回 Meetup も豪華登壇者が予定されているということなので非常に楽しみです。